N君

別のセクションから、当セクションに異動になり、1年半が経つ。本人の要件は、母子家庭・母親は料理屋さん(食べ物屋)なので、夕方からの仕事。やや知恵遅れ・コトバの発語が大きく遅れていてキチンと伝えられない。内臓疾患を抱えているとの事。
清掃作業は、やや雑ですが、だいたいこなせる。

N君の課題は、(我々の目線では)次の様になります。
N君の情意(感情意志)に本人の発語が伴わないし、発語があっても、独特の幼児語的な単語のみの言い回しである。一般的には、聴いて理解するには、時間を要する。困難。
別言すれば、情意について、発語が極度に遅れていて、幼稚である。
日常生活のルール・エチケットが、育っていない、凹んでいて、N君には把握されていない。
人(職員など)の考えていることは、次の展開を読めることがある。(セクションでは、しっかりしている部類に振り分けられる。)

補1:家庭の協力支援理解があって、衣服(季節性・清潔)・洗顔・ハンカチ・タオルなどが、キチンと出来ていることは・・・→日常生活のルール・エチケットが、できていないことをもってジャどうなんだろう? つまり、こうしたことに無頓着である利用者を我々だけでなんとか出来るスペースは、ともてモロイものです。

補2:現在のN君の状況を彼がどのように受けとめているのか、もしくは受け入れているのか、あるいいはもどかしく感じていえるのか、未知。年何度が、パニックがあるが、パニックは利用者の何人にもあることで、常態。



が、当セクションでのN君の有り様について
控え室の状況を読んで、自分の居場所を、より作ろうとはしない。
(大部分ここでは、職員のそれなりの配慮でみなそれぞれ居場所は出来上がっている。→居心地がよいと言うべきか。)
フリーエントリーで、人数限定作業では、仲良し連中がエントリーしてN君が取り残されると、フラストレーションで挙動不審・挙動不安となる。
(かと言って、よう〜し 自分がエントリーしよう!とは、今のところならない。)
N君は、皆の仲ではみんなと同じく良い仲間である。素敵な笑顔で、適切によく笑うし、仲間内では通じる話し言葉でコミュニケーションは盛ん。

暫定結論
我々が間違っているじゃないか。
我々がN君の側に立つ軸がおかしい。
どのようにおかしいか?
我々は、彼が居心地が良い環境を確保することをN君(障害者)の側に立つと勘違いしている。この一見、安全無事や平穏無事の風呂敷の中で一日の作業をこなし
彼が居心地が良い環境を確保しようとしていことは、彼の側に立つことではなくて(補2を視野に入れて対応はしていないことになる)、国家の障害者終身国家管理体制の側に立ち、もっと突き詰めれば、不可避的に国家の障害者終身国家管理体制に加担していることになる恐れすら感じる。

言い方は刑務所には悪いが、刑務所施設では、安全無事平穏無事の施設運営の自己矛盾および改善事項と切迫した諸問題が、刑務所を取り巻く状況としてあります。(NHKクローズアップ現代、その他マスコミ)
しかも、我々は、障害者の自立と障害者を我々と同じ人間と受け止めて、支援指導活動を行っているのです。
当セクションや福祉施設でも、現実が切迫している事は、明白です。
利用者が一日安全無事や平穏無事にすごすだけでは、片手落ちです。
我々は、もっと、目を覚まさなければなりません。