「アンガ―トウ」

春から夏にかけて、Nさん(男性)は何度もヒートアップします。
言葉は、かろうじて「アンガ―トウ」のみ。自閉で自傷で、奇声と共に施設内外を
走りまわると、職員らは振り回される。もちろん、その日は単純系作業に取り組む
ことは、あきらめざるを得ない。
だいたい3日間ほどで、イライラ(?)が解消した状態と言うわけではなくて、発火し
てエネルギ―を使い果たしたごとく、鎮火状態になる。

誰もがNさんには、こころをくだいて、こころを注いで、痛めている。
薬も我々も彼にはかすかに役立っているのか?

Nさんは、たまたまNさんになった
同じ時空で
ボクは、たまたまNさんにならなかった